丹波竜について

 兵庫県の丹波市の河原で1億数千万年前の恐竜(ニックネームは丹波竜)の化石が発見されたのは昨年のことである。地質学年代的には白亜紀に生息したティタノサウルスに属する恐竜らしい。今年あたりから発掘が始まっているが、全長は十数メートル、過去最大級でほぼ完全な状態で埋まっているらしい。古生物学の専門家は、「日本最大級というよりはアジア最大級」といい、「日本ではありえないぐらい保存状態がよい」と言う。今後10年ほどかけて慎重に掘り出される予定とのことである。

 私は学生時代に地質学を専攻し、野尻湖底のナウマン象化石の発掘や待兼山の阪大構内から出土したワニ化石(通称、マチカネワニ)の発掘にも参加した。その後、企業では化学をやってきたので今では素人同様であるが、それでも企業を退職した現在では一大関心事であることは間違いない。

 丹波竜の発見者の一人、村上氏は同郷の高校の後輩であり、現在発掘された化石の一部が保存されている三田市の「人と自然の博物館」岩槻館長は、大学の先輩でもある。

 昨年末には、阪大中ノ島センターで「マチカネワニのいた時代」というシンポジウムがあり、講演された恩師の亀井先生(古生物学)に30数年ぶりにお会いできた。80歳を過ぎて自らを「化石」と称しておられるが、今なお矍鑠としておられる。

 そんなことで、何か数十年のブランクを経て、また新たな記憶がよみがえってきたように思う。人生は長く生きると、思いがけないこともあるのだなぁと思ったりする。今後何らかの形で、一発掘要員としてでも丹波竜の発掘に参加できればと思っている。

(2007.8.11記)