へぼテニス雑感

へぼテニス雑感
(化学,総合技術監理部門)丹生 光雄

 私は、70台後半であるが、家内に厳重な注意を受けながら現在も週1、2回はテニスコートに立っている。仕事・遊びを通じて、これだけは止められない。何が魅力なのかもう一つよくわからないが、会心のボレーやサーブができたときの感触が忘れられない…、それだけのことかもしれない。クラブでは、若者にまじってスクール授業も受けているが、当然最年長である。ただし、クラブには、80歳を優に超えた方が何人もおられるから、未だ少しはいけるかなどと思ったりする。何とか、もう少し上手になりたい。私を見限ったコーチは別として、親切なコーチは「ボレーの基本が未だできていない」などと丁寧に教えてくれる。泣き出したくなる時もある。
 私がテニスを始めたのは、30年ほど前である。その頃は、テニス雑誌や書物を片っ端から読み漁った。当時、ボールとラケットの関係をベクトル解析した本が出て、この理論に傾倒した。即ち、単純な物理法則ではあるが、ボールの速度、ラケットの速度、ラケット面の振り出す方向、ボールとラケット面との出会角度等々を反射理論と反発係数によりベクトル解析してその合力の方向(即ち、打球方向)を推定する理論である(この本には、ボールのスピンやラケットの角速度のことは、複雑すぎるとして書かれていなかった。)。
この理論をマスターしてコートに立ったが、結局のところあまり役にはたたなかった。そんなことを1球1球考えている余裕はないし、結局のところ数多く球を打って体に覚えさせる以外に方法は無いようである。また実際には、ボールのスピン方向(トップスピンかバックスピンか)及びスピン量(3次元的)がラケット操作の大きな要素となっている。
 現在のテニス界は、フェデラー、ビョコビッチ、マレー、ナダルが引っ張っているが、次世代を担う新人も続々登場しつつある。日本人としてベストテン(最高4位)入りした錦織の功績は大きい。我々が興奮したのは、マッケンロー、コナーズ、ボルグの時代であった。その後、レンドル、アガシ、サンプラスの時代もあった。私から言えば、現在は第3期目の時代のように思う。ラケットは木の時代から大きく変遷したし、テニス理論もかなり変わってきた。現在のコーチは、新しい理論で教えてくれる。
 そろそろ全豪オープンがスタートするが、錦織のエントリーも含め、今からわくわくしながらテレビ中継に期待を寄せている。