EA21ガイドライン改訂検討に関する意見

                    (2015.12.17)

 今回のISO14001の改訂にともなって、2017年に改訂が予定されているEA21ガイドラインについて、各地域:事務局で審査人の意見を集約し具申するよう中央事務局から要請されているため、下記のような意見具申を行った。

  • ISO14001規格改訂のどの部分をどうEA21規格に取り込むのかを明確にして頂きたい。
     ISO規格で新たに加えられた要求事項のどの部分をどのようにEA21ガイドラインに取り込んで整合性をもたせるのか、パブリックコメントを開始し早急に決定していただきたい。今年の全国大会(10月16-17日,於横浜)の説明資料(資料5)では、要求事項の改訂に関しては殆ど触れられていない。
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  • 審査人の力量向上をこれまで以上に重視して頂きたい。
     EA21審査人は、営業活動に重点を置くあまり、自らの力量向上がなおざりになる傾向がありえる。審査人の力量向上のために次のような施策をお願いしたい。
    1.力量向上研修の機会をこれまで(年1回)以上に増やす
     こと
    2.指導審査人(仮称)の養成とオンジョブトレーニングに
     関して、指導審査人のISO14001講習(内部監査員程度
     でよい)終了と新規認定審査人の審査に関するチェック
     リストを作成しそれにより判定すること
     (因みに、ISOでは新規認定審査員(人)に実際に審査を
     させ、見極め審査員がチェックリストにより審査成績を
     つけ、見極め審査員がOKを出すまで何回でも試行審査
     をさせている。)
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  • 営業の仕組みを抜本的に検討しなおして頂きたい。
     現在の営業活動は、各地域事務局に関係する審査人が営業活動(IP、GP、説明会、個人的支援活動等)を行い受審事業者を増やしている。一方ISOでは、審査機関内に営業部門があるため、審査員は営業活動に気を取られることなく、専ら「如何に有益な審査を行うか」について日頃研鑽をおこなっている。EA21審査人は、営業活動に重点を置くあまり、自らの力量向上がなおざりになる場合があり、これでは審査での力量の差は埋まらない。
     従って中央事務局は、受審事業者にインセンティブを与えるような抜本的な法制、施策を政府にたえず要請して頂きたい。審査人の営業活動への負担を今までより軽減する方向で方策を検討頂きたい。
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  • 地域事務局業務実施のための経費確保について、業務経費の一部を審査人が負担する制度に賛成である。そのため、審査人保護の観点からとられている、各地域事務局との契約の該当条項を改更して頂きたい。
     なお、審査費用の支払先を審査人直接払いから事務局へ変更することについては、煩雑な仕事量が増えることに鑑み、その作業工数、陣容、予算、どちらの事務局が分担するか等の困難な問題を十分に検討し解決してからにして頂きたい。事務局がタッチするとなると、審査工数、宿泊規程、旅費規程、移動工数規程、サイト間移動工数規程等々、詳細な規則をより厳密に確立する必要が高くなり、結局ISOと何ら変わるところがなくなってしまう。(審査人に直接振り込まれるルールは、欠点はあるがそれなりに優れた制度であると感じている。)
     また、交通費の請求で、自宅からでなく事務局所在地起点とする案は、あまり意味がないように思う。理由は、受審組織の業種と審査人の専門とのマッチングがISOほど厳密ではなく(ISOでは、NACEコードを厳密に適用している)、適任者が近くにおらず遠方から審査人が出向く割合は、マルチサイトを除けば比較的少ないと思われるからである。
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  • 審査後、両事務局への提出資料は最低限として頂きたい。
     審査後、報告書資料(様式1〜9)以外に提出を求められる資料が多すぎるように思う。ISOでは、審査報告書以外に提出する資料は、環境管理マニュアル、環境方針、環境組織図程度である。現在は、大きな組織であれば提出を拒否されるような情報を記載した資料も提出しており、秘密漏洩の点からも問題が多い。
    事務局でもチェックが必要というのであれば、①様式6「審査報告書」の記載のあり方を検討すること、②審査人に審査記録(審査現場での手書きのメモ)を提出させること、等で対応が可能と思う。審査人も判定委員・事務局とも、審査報告は審査報告書(様式6)を最重要視すべきであり、これによって審査人がどんな審査をしてきたか判定できるような書式が望ましい。(そのような趣旨で様式6も改訂すべきである。)
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  • 判定委員会の質を向上させるため、判定委員資格についても検討すること
     判定委員は、何を判定するのか? 判定とは何か? を十分に把握して判定のあたって頂きたい。それには、EA21の要求事項の発現の基になっているISO14001の知識を持っていることを条件としてほしい。EA21といえどもISOの規格の理解なく、審査の判定は無理である。

(以上)